水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
海洋微生物Pseudomonas sp.による炭化水素の分解に及ぼす栄養塩の効果
山根 晶子村上 昭彦
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1986 年 9 巻 1 号 p. 38-44

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抄録
川崎港の海水から集積培養法を用いて単離したPseudomonas sp.において, n-テトラデカンの微生物分解を改善するために, 窒素源, リン酸塩からなる栄養塩の濃度および種類を検討した。その結果, 冷暗所に保存した海水にNH4NO31000mg/l, K3PO4100mg/l, 酵母エキス10mg/lを加えた培地がn-テトラデカンを最もよく微生物分解した。
NH4NO3/K3PO4比を10に維持したとき, 油の分解速度rm [mg-oil l-1h-1] と栄養塩濃度S [mg-NH4NO3l-1] との相関は, rm= (rm) max {S/ (Km+S)} によく一致した。この油の初期添加油量を153mg/lとしたとき (rm) max=4.9 [mg-oil l-1h-1] でありKm=94 [mg-NH4NO3l-1] であった。さらに, この改善された培地によってPseudomonas sp.の増殖速度が高められ, その結果乳化剤の生産が増加されるため油分解が速くなると推定された。
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© 社団法人日本水環境学会
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