抄録
神奈川県内における地下水, 河川水及び工場排水の有機塩素系溶剤について汚染実態調査を行い, その特徴などについて検討したところ次のような結果が得られた。1) トリクロロエチレン, テトラクロロエチレン, 1, 1, 1-トリクロロエタンの検出状況は調査対象地区によって異なっており, 不透水層である泥層が存在している地区では浅井戸で3物質は検出されたが, 深井戸では不検出かあるいは検出されたとしてもそれらの濃度は低かった。しかし不透水層がない地区では浅井戸, 深井戸ともに検出され, 特に深井戸でそれらの濃度が高く, 地下水の流れ方向に行くに従って高濃度に, また井戸水の汲上げ量の多いほど高濃度に検出されていた。2) 河川では上流より下流の方が3物質は高濃度に検出されており, 河川流域に存在している工場の影響がうかがえた。3) 工場排水中の3物質の濃度は, 活性汚泥法等曝気操作がある処理の方が凝集沈殿による処理よりも低かった。