水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
底生動物と河川水間の重金属の量的関係
小山 次朗小林 紀男
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1986 年 9 巻 12 号 p. 793-797,774

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抄録

底生動物と河川水間の重金属類の量的関係を明らかにし, 底生動物による河川水中重金属類のモニタリングの可能性を検討するため, 渡良瀬川水域をフィールドとして底生動物および河川水中重金属類を測定した。その結果、種あるいは属ごとにみた場合, Cuの水中濃度とコカゲロウ属中含量間に良い直線関係が認められた。また, 河川水と底生動物全体の重金属量の単回帰分析によるとCu, Zn, CdおよびPbでそれぞれ相関係数0.840, 0.324, 0.544および0.445が得られ, Cuで比較的よい直線関係が認められた。さらに河川水中重金属濃度と底生動物中重金属含量および水温との間で重回帰分析を行うと, 同様に重相関係数0.872, 0.800, 0.697および0.797と全般的に高い値が得られた。以上のことから, 河川水中重金属類の長期間にわたるモニタリング生物として底生動物が適用できるものと考えられた。

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© 社団法人日本水環境学会
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