水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
酵母の増殖特性に及ぼすマグネシウム-コバルトの相互作用に関する研究
青山 勲工藤 章I.A. Veliky
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1986 年 9 巻 2 号 p. 79-86

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抄録

有害物質の毒性試験として, 指標生物に酵母を用いた。本研究では, 酵母の増殖特性を指標として生物にとって必須元素であるMgと, 過剰量で有害となるCoの毒性の相互作用について検討した。Mgは酵母細胞の増殖を促進し, 逆にCoは阻害するという拮抗作用がみられた。培養液のMgの添加はCoの増殖阻害作用を緩和し, 回復作用を示した。Mg添加による増殖の回復の程度は培養液中のCo濃度と添加したMg量に依存した。細胞増殖の阻害率とCo濃度との関係は双曲線で表された。Co毒性の感受性は増殖初期の段階で高かった。また, Mgを添加するまでのCoへの暴露時間と増殖速度との間には直線関係が得られた。細胞内に取り込まれたMg量は培養液中のMgやCoには依存しなかったが, Coは濃度に依存した。しかしMg濃度が高い程, Coの取り込み量が減じ, 毒性も低下した。細胞内ではCoの存在下で, Mgの蓄積部位が細胞液から細胞壁の部分に増加することが認められた。

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© 社団法人日本水環境学会
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