日常生活において高次認知活動を遂行するためには、目標行動に必要な情報をアクティブに短時間記憶することが必要である。この記憶機能はワーキングメモリと言われるが、保持できる容量は物体3個程度であり、保持機能に厳しい制約がある。外界には目標行動に不必要な情報も存在するので、効率的な行動達成のためには、妨害情報を排除しながら現在必要な情報のみを保持するようコントロールすることが必要となる。本研究では、これらのワーキングメモリ機能の発達過程を横断的に検討した。その結果、保持に関するワーキングメモリ容量は10才で、コントロール機能は12才で、成人と同様にまで発達することが明らかになった。また、単純な保持ではなく、コントロール機能が高い児童ほど学業成績も高いという正の相関を持つことも示された。