2007 年 18 巻 6 号 p. 382-391
畜産業が盛んな南九州では, 家畜ふん尿が大量に発生しており, 農地への過剰な施肥による地下水汚染やリンの蓄積などが指摘されている。本研究では, 家畜ふん尿が大量に発生している宮崎県を事例とし, 家畜ふん尿の排出方法や, 処理方法について敷料を含めた発生および処理実態調査を行った。この結果を基にして物質フローを推定し, 家畜ふん尿の適正な資源循環の仕組みを提案することを目的とした。また, 家畜ふん尿由来の窒素・リン (P2O5) フローを明らかにした。これらの農地への施肥量は, 窒素・リンの適正施肥量に対しそれぞれ2倍, 3倍量であり, 過剰に施肥されていた。過剰施肥を防ぐためには, 焼却など堆肥化以外の処理や, 工業原料化など, 農地への還元を回避した処理・資源化を行う必要がある。