廃棄物学会論文誌
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論文
都市生ごみを原料としたポリ乳酸生産プロセスの物質収支と副生成物のコンポスト肥料としての稲作への利用
森 正嗣栗林 真理中村 正和西村 恭彦白井 義人酒井 謙二
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2008 年 19 巻 6 号 p. 400-408

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抄録

本研究では都市生ごみの新規再資源化技術として提案されたポリ乳酸生産プロセスにおける元素収支を明らかにし,副生成物をコンポスト肥料として利用する可能性について検討した。100kg (乾物として22kg) の都市生ごみから約7kgのポリ乳酸 (炭素収率として33%) が生産され,主要な副生成物として,都市生ごみ乾物の約29%相当が糖化残さとして発生した。そのC/N比は生ごみとほぼ同様の値を示し,可溶性糖が残存する一方で,塩分および油分含量が低下していた。本糖化残さは続く高温好気発酵により安定なコンポストに変換され,得られた標品は小松菜に対する緩効性窒素肥料としての有用性が示された。また水稲栽培に用いた場合,化成肥料区等と比較して有意な収量増加が認められた。以上より,糖化残さをコンポスト肥料として水稲栽培に用いることで,ポリ乳酸生産を基軸とした都市生ごみ成分元素のトータルなリサイクルの可能性が示された。

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© 2008 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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