廃棄物学会論文誌
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論文
資源ゴミ分別制度への住民評価におよぼす情報接触と分別行動の効果
―環境社会心理学的アプローチによる検討―
杉浦 淳吉野波 寛広瀬 幸雄
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1999 年 10 巻 2 号 p. 87-96

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抄録

本研究では, ごみを可燃・不燃の2分別でいつでも出せる旧方式から, 資源化を含む26種類に分別し, 月2回の回収日には住民が交代で立ち当番をするという新制度を導入した自治体の事例を取上げた。市内全域に順次導入される一時期において, 制度導入前, 導入直後, 制度導入後1年の3地区について, 各210世帯を対象とする社会調査を実施し, 新しい分別回収制度の社会的利益・個人的コストの個別評価, 新制度の総合評価を比較した。その結果, 新制度の総合評価は, 導入前の地区よりも, 導入からの時間が経過した地区ほど, 肯定的に変化していた。ごみ処理に関する個別評価では, 行政による情報への接触により社会的利益の側面による新制度支持が肯定的に変化した。一方, 制度導入から一定期間が経過することで, 行動実行のコミットメントおよび行動の習慣化により, 社会的利益の側面に加え, 個人的コストの側面からも新制度を支持するように変化した。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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