廃棄物学会論文誌
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10 巻, 2 号
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論文
  • ―エネルギー回収における環境負荷と社会的費用便益分析―
    劉 庭秀, 安田 八十五
    1999 年10 巻2 号 p. 67-76
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究は主に大都市地域から排出される一般廃棄物の固形燃料化と発電および熱回収における環境負荷と社会的な経済性を既存システムである清掃工場との比較分析を行い, 未利用エネルギーシステムとしての有効性の総合評価を試みた。
    固形燃料化システムは, 現在のプロセスであれば, 環境負荷が多くなっているため, 製造, 焼却施設のプロセスの改善が要求されるが, 高効率のエネルギー回収が可能であり, 生産エネルギー一単位あたりの環境負荷は少ない。経済的な面でも省エネルギー効果, 環境汚染物質削減効果といった社会的附加便益を加えると十分有効であると判断される。
  • 緑川 猛彦, 桃井 清至, 丸山 久一, 坂田 昇
    1999 年10 巻2 号 p. 77-86
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    下水道整備事業の進展により, 下水汚泥は今後益々増加するものと予想される。下水汚泥は産業廃棄物として主に埋立処分されているが, 埋立地の確保が困難なことから, 焼却または溶融処理による減量化と同時にそれら溶融スラグの有効利用が模索されている。本研究は下水汚泥の建設資材への有効利用を目的に, バイブレータによる締固めを行わなくとも自ら充填するコンクリート (高流動コンクリート) への適用性をフレッシュおよび硬化性状について検討した。その結果, 微粉砕した下水汚泥溶融スラグは, 高流動コンクリート用混和材としてフレッシュ性状を満足できること, 硬化後においても, 通常の高流動コンクリートとほぼ同程度の性質を有することなどが明らかになった。
  • ―環境社会心理学的アプローチによる検討―
    杉浦 淳吉, 野波 寛, 広瀬 幸雄
    1999 年10 巻2 号 p. 87-96
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究では, ごみを可燃・不燃の2分別でいつでも出せる旧方式から, 資源化を含む26種類に分別し, 月2回の回収日には住民が交代で立ち当番をするという新制度を導入した自治体の事例を取上げた。市内全域に順次導入される一時期において, 制度導入前, 導入直後, 制度導入後1年の3地区について, 各210世帯を対象とする社会調査を実施し, 新しい分別回収制度の社会的利益・個人的コストの個別評価, 新制度の総合評価を比較した。その結果, 新制度の総合評価は, 導入前の地区よりも, 導入からの時間が経過した地区ほど, 肯定的に変化していた。ごみ処理に関する個別評価では, 行政による情報への接触により社会的利益の側面による新制度支持が肯定的に変化した。一方, 制度導入から一定期間が経過することで, 行動実行のコミットメントおよび行動の習慣化により, 社会的利益の側面に加え, 個人的コストの側面からも新制度を支持するように変化した。
  • 原 雄, 根本 久美子, 中村 政夫, 田村 稔
    1999 年10 巻2 号 p. 97-106
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    表面溶融炉において混合灰 (主灰/飛灰) の溶融によって生成したメタルの化学組成を調査した。それらのメタルは, 水冷スラグから分離したmmサイズのもの, スラグを微粉化することによって分離される数100μmサイズ以下のものおよびスラグ微片からは分離されないものからなる。mmサイズメタル粒の化学組成は, 蛍光X線分析によりFeないしFe・Cuを主成分とし, 粉末X線回折により金属Fe相・金属Cu相および (Fe4Cu3) 相を形成していることがわかった。数~300μmサイズメタルの化学組成は, 走査型電子顕微鏡と組み合わせたエネルギー分散型スペクトロメーターにより分析した。それらのメタルは, Fe, Cu, Si, Cr, Co, Ni, Zn, Sn, Sb, Pbというように多種類の金属元素を含むが, Feを主成分とするメタル粒およびFe・Cuを主成分とするメタル粒が卓越して認められた。また, Cr-Fe-Ni系, Fe-Co-Ni系, Fe-Cu-Sn-Sb系, Fe-Sn系, Ti-Sb系, Pb-O-S-Cl系などの特徴的な組成を持っ微粒が認められた。
研究ノート
  • 中川 創太, 田中 俊博, 伊藤 三郎, 葛 甬生
    1999 年10 巻2 号 p. 107-110
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    最終埋立処分場浸出水中のダイオキシン類を分解することを目的とし, AOP法 (Advanced Oxidation Process) の一種であるO3/H2O2処理およびUV/O3/H2O2処理実験を行い, 処理特性の比較を行った。総ダイオキシン類量の処理結果は, 原水が6, 500 [pg/1] に対してO3/H2O2処理水が3, 500 [pg/1] , UV/O3/H2O2処理水が1, 900 [pg/1] であり, ダイオキシン類はこれらによって分解可能であることが明らかとなった。また, 両処理法における各ダイオキシン類同族体の除去量を比較したところ, 低塩素化物の分解性能はほぼ同等であったが, 高塩素化物の分解性能はUV/O3/H2O2処理の方が高いことが認められた。原水のTEQの内訳は四~六塩素化物の合計で全体の91%であり, 高塩素化物由来のTEQは僅かであったことより, 総ダイオキシン類量の処理には高塩素化物の分解性能がより高いUV/O3/H2O2処理がより適しているが, 実際の毒性の高さを示すTEQの処理においてはO3/H2O2処理でも可能と推察された。
  • 北野 誠
    1999 年10 巻2 号 p. 111-115
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    NaCl, KCl, CuCl, NiCl2, ZnCl2, FeCl2を用いて熱力学平衡関係から発生する塩素ガス濃度を検討した。検討温度範囲は二次燃焼炉から始まる排ガス処理過程の温度低下領域をカバーする500-1, 100Kを検討対象とした。その結果, NaClとKClを起源とする平衡塩素濃度は小さく無視でき, CuClは温度低下に伴って分解の結果発生する塩素ガス濃度が増加するという点でその他の金属塩化物とは際立った違いを見せた。すなわち, 他の金属塩化物は温度低下にしたがい塩素ガス濃度も低下し, 500Kでは数から100ppm程度まで減少するが, CuClは, 酸素分圧0.1atmの状況下では分解し塩素ガス濃度で約104から105ppmと平衡する。また, 573Kにおいては, CuCl, FeCl2, ZnCl2, NiCl2の順で高い塩素ガスと平衡することが示された。
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