廃棄物学会論文誌
Online ISSN : 1883-163X
Print ISSN : 1883-1648
ISSN-L : 1883-1648
論文
建築時における建築物の環境負荷に関する調査研究
―積み上げ方式による固定資源量と廃棄物発生量の評価―
山口 一小笠原 均郎
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 11 巻 2 号 p. 74-83

詳細
抄録
地球環境問題に大きく関与する構造物の建設に対し, 省資源, 省エネルギーおよび廃棄物の低減化を計るため, 実際の構造物の環境負荷量を定量的に把握することは重要である。今回, モデルビルとして, 用途「事務所」, 構造「S造」, 延床面積「15, 803m2」, 地上14階, 塔屋1階, 地下2階 (地下のみSRC造) の構造物を対象に, 約4, 000工事科目を19の基礎素材に分類し, 材料金額ベース95%以上の寄与率で, 建築時における固定資源量を, 直接に積み上げて算出し, 床面積あたり約2, 800kg/m2の値を得た。エネルギー消費量・二酸化炭素排出量は, 各々19基礎素材毎のエネルギー原単位 (kcal/基礎素材kg) , および二酸化炭素排出量 (C-kg/基礎素材kg) を用い算出し, 各々床面積あたり444Mcal/m2, 435C-kg/m2であった。これは, S造地上部ばかりでなく, SRC造の地下部 (地域冷暖房施設と駐車場) に起因する原材料の鉄およびセメントに最も寄与していると考えられる。さらに「階層」「延床面積」等といった建物特性が異なる6タイプのS造事務所ビルをモデルビルとして解析し, 床面積あたりの二酸化炭素排出量が約200C-kg/m2前後の値を得た。
また, 建設廃棄物排出量については, モデルビルを基に10工種27資材の排出原単位を設定し, 785工事科目に関し積み上げ方式により算出し, 同様な建物特性を有する対象と比較した。
著者関連情報
© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
前の記事 次の記事
feedback
Top