廃棄物学会論文誌
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11 巻, 2 号
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論文
  • 今井 知之, 藤井 泰彦, 松井 敏樹, 中井 資
    2000 年11 巻2 号 p. 67-73
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    機械化バッチ式都市ごみ焼却炉の燃焼室に酸化鉄触媒を吹き込んで燃焼実験を行った。その結果, 触媒がダイオキシン類生成に対して顕著な抑制効果を持ち, 消石灰と触媒の組合わせによって, 燃焼排ガス中の塩化水素の高い捕捉機能を持つことが明らかになった。燃焼排ガス中のダイオキシン類は, 触媒なしのときの生成量の20~30%に減少し, 飛灰も含め焼却炉から排出する全ダイオキシン類生成量を酸化鉄触媒によって削減できた。塩化鉄の生成がダイオキシン類生成に強い影響を持つことから, 酸化鉄触媒からの塩化鉄生成の可能性について, 熱力学的検討を行った。
  • ―積み上げ方式による固定資源量と廃棄物発生量の評価―
    山口 一, 小笠原 均郎
    2000 年11 巻2 号 p. 74-83
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    地球環境問題に大きく関与する構造物の建設に対し, 省資源, 省エネルギーおよび廃棄物の低減化を計るため, 実際の構造物の環境負荷量を定量的に把握することは重要である。今回, モデルビルとして, 用途「事務所」, 構造「S造」, 延床面積「15, 803m2」, 地上14階, 塔屋1階, 地下2階 (地下のみSRC造) の構造物を対象に, 約4, 000工事科目を19の基礎素材に分類し, 材料金額ベース95%以上の寄与率で, 建築時における固定資源量を, 直接に積み上げて算出し, 床面積あたり約2, 800kg/m2の値を得た。エネルギー消費量・二酸化炭素排出量は, 各々19基礎素材毎のエネルギー原単位 (kcal/基礎素材kg) , および二酸化炭素排出量 (C-kg/基礎素材kg) を用い算出し, 各々床面積あたり444Mcal/m2, 435C-kg/m2であった。これは, S造地上部ばかりでなく, SRC造の地下部 (地域冷暖房施設と駐車場) に起因する原材料の鉄およびセメントに最も寄与していると考えられる。さらに「階層」「延床面積」等といった建物特性が異なる6タイプのS造事務所ビルをモデルビルとして解析し, 床面積あたりの二酸化炭素排出量が約200C-kg/m2前後の値を得た。
    また, 建設廃棄物排出量については, モデルビルを基に10工種27資材の排出原単位を設定し, 785工事科目に関し積み上げ方式により算出し, 同様な建物特性を有する対象と比較した。
  • 中村 愼一郎
    2000 年11 巻2 号 p. 84-93
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    財の生産と消費は不可避的に廃棄物を発生させる。静脈部門で適正処理・処分を経た廃棄物は, 最終的に「環境負荷因子」として環境に放出される。静脈部門はその活動のために動脈部門からの財投入を必要とするが, 一方で, それ自身廃棄物を発生させる。また, 廃棄物再資源化は静脈から動脈への財供給である。動脈部門と静脈部門との間の財と廃棄物の循環を巡る, 投入・産出・排出・処理・処分の相互依存関係を数量的に把握する分析装置として「廃棄物産業連関モデル」を開発した。1990年のわが国公表産業連関表等を用いて, 52産業部門, 24種類の廃棄物, および破砕・焼却から溶融・埋立までの廃棄物処理・処分部門からなる全国規模の廃棄物産業連関表モデルを推定した。応用として, 広域化による集中処理・ごみ発電, 廃プラスチックの高炉還元利用等が, 産業生産活動・最終処分量・二酸化炭素排出量におよぼす効果を評価検討した。
  • 竹下 幸俊, 佐藤 芳之, 西 史郎
    2000 年11 巻2 号 p. 94-100
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境配慮型のCCA処理木材の処理技術の開発を目的に, 超臨界流体を用いて木材からの金属の抽出を試み, 温度, 圧力, 流速の影響について実験的に調べた。金属の抽出量は高温, 高圧, 低流速ならびにアセチルアセトンの添加により大きく増加することがわかった。アセチルアセトンの添加効果は, 木材中の金属の錯体形成によることが推測され, このことからキレート剤を含む超臨界二酸化炭素によりCCA処理廃材から金属の抽出の可能性が示された。
  • 福本 二也, 古市 徹, 石井 一英, 蛯名 由美子, 花嶋 正孝
    2000 年11 巻2 号 p. 101-110
    発行日: 2000/03/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    近年, 最終処分場の建設が, 地下水汚染への不安, 立地選定への疑問, そして事業主体への不信感等を抱く住民の反対により困難になっている。その対策の一環として, 平成9年の法改正により生活環境影響調査および調査結果の住民縦覧が義務づけられた。しかし, 生活環境影響調査だけでは問題の解決にはならず, さらなる情報公開と計画への住民参加が望まれている。本研究では, 中立的な立場において, 地形地質条件に着目した立地選定手法を現実の処分場立地事例に基づき構築し, さらに住民参加を取り込んだ立地選定プロセスのシステム化を行う。さらに別の住民反対が生じた立地選定事例を通じて, 本プロセスの構成方法と有効性を検証した。その結果, 立地選定を行い, 同時に適切な情報公開や説明会等の住民参加を行うことが, 情報公開不足によって生じる住民反対, あるいは住民反対の拡大を予防し, 住民理解の促進に資することを示すことができた。
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