廃棄物学会論文誌
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論文
生ごみの高速たい肥化における通気量と切返し頻度の効果
惠谷 浩
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2000 年 11 巻 4 号 p. 204-213

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抄録

生ごみを原料とし, 処理能力1ton/dayで実際の規模・構造のスクープ式発酵装置を用いて, 通気と切返しが好気性発酵の促進に与える効果を検証した。まず, 切返し頻度を一定 (昼間のみ5回/日) にし, 通気量を0, 370, 900l/min (原料中の生ごみ・紙乾燥重量1tonあたり) と変えた実験を行ったところ, 温度, pH, 有機物分解率の経時変化から, 900l/minで最も好気性発酵が促進した。しかし一方で, 過度の含水率低下による微生物活性の低下が観察された。通気量を370l/minに下げても温度, pHの発酵初期の上昇, 有機物分解が約1日遅くなっただけであり, プラントの建設・償却費, 運転費からも370l/minが実用的と考えられた。次に通気量を一定 (370l/min) にし, 切返し頻度を昼間のみ1, 3, 5回/日, 昼夜にわたり3, 6, 12回/日と変えた実験を行った。その結果, 切返し頻度の多いほうが発酵初期の温度, pHの上昇が速いことが確かめられた。しかしながら有機物分解率には顕著な差がなかった。この原因として, いずれの条件においても昇温後に過度の高温になり微生物活性が低下したことが考えられた。また, 発酵後期における過度の切返しは, 温度低下を起こすので注意を要することもわかった。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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