廃棄物学会論文誌
Online ISSN : 1883-163X
Print ISSN : 1883-1648
ISSN-L : 1883-1648
展望論文
分子生物学的手法を用いた廃棄物埋立地浸出水中の硫酸塩還元菌とメタン生成菌の解析
森 浩二高見澤 一裕
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 13 巻 3 号 p. 113-123

詳細
抄録

廃棄物埋立地における廃棄物の分解と安定化のメカニズムを知ることは, 廃棄物埋立地を正しく評価するために極めて重要である。ここでは, 分解・安定化に大きな役割を果たしていると考えられている硫酸塩還元菌とメタン生成菌に焦点を絞り, これらの分布と構造について分子生物学的手法を用いて研究した結果を述べる。これまで, その微生物学的知見は培養法によるものが大半であったが, 1990年代より様々な環境を理解するために分子生物学的手法が適用され, 多くの知見が得られはじめた。主な方法としては定量的PCR, クローニング解析, DGGE, RFLP, TRFLP, スロットプロットDNA (RNA) ハイブリダイゼーション, FISHがある。これらを概説し, 定量的PCRとクローニング解析の応用例を示した。その結果, 硫酸塩還元菌の存在量は全細菌の約15-30%であること, メタン生成菌は約2-3%であることがわかった。さらに, クロルベンゼン等の有機塩素化合物を脱塩素化することで知られているDesulfomonile属が多数検出され, 廃棄物埋立地における有機塩素化合物の分解を説明できる結果を得た。

著者関連情報
© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
次の記事
feedback
Top