廃棄物学会論文誌
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論文
焼却灰主成分の変動が溶融特性とスラグ品質に及ぼす影響
吉野 敦志桃井 清至小松 俊哉
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2002 年 13 巻 6 号 p. 361-369

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抄録
塩基度 (CaO/SiO2) およびAl2O3の量的変動を指標として用い, それらが1) 焼却灰の溶融特性, 2) スラグのすり減り減量, 3) スラグからの金属類の溶出に及ぼす影響について検討した。試料には6成分系の人工灰 (SiO2-CaO-Al2O3-Fe2O3Na2O-P2O5) を用いた。
実験から, 1) では塩基度0.54~1.07でOthers (=Al2O3+Fe2O3+Na2O+P2O5) 量15~20mol% (Al2O310mo1%程度) の範囲に低溶融点域の存在することが観察でき, 主要3成分 (SiO2-CaO-Al2O3) の影響が支配的であった。2) ではSi, Al, Ca, Oが複合結晶 (CaAl2Si2O8 (Anorthite) , Ca2Al2SiO7 (Gehlenite) , Ca2SiO4 (Larnite) ) として析出している結晶質スラグであればすり減り減量は30%以下となった。3) ではPb (人工灰にPbOとして0.3mol%添加) の溶出濃度は, 塩基度0.53~3.2, Al2O3量6~15mol%程度の組成で1mg/L以上となった。以上の特性をスパイダーグラフとしてまとめた結果, トレードオフの関係が見られ, 軸スケールを使用目的に応じて限定していくことで適切な組成範囲が把握できると考えられた。
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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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