廃棄物学会論文誌
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論文
添加した放線菌と種菌調製資材による生ごみの高速コンポスト化および臭気発生抑制の効果の検証
惠谷 浩
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2003 年 14 巻 4 号 p. 191-199

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抄録

放線菌種菌の添加による生ごみの高速コンポスト化と臭気発生抑制の効果を検証するために, 実際の規模・構造の発酵槽を用い, 4種類の供試材料を用いてコンポスト化実験を行った。4種類の供試材料として, 乾燥とpH調整した破砕生ごみ (初期含水率68%, Run A) , 放線菌種菌を52% (乾重基準) 添加した破砕生ごみ (初期含水率69%, Run B) , 58%添加した破砕生ごみ (初期含水率66%, Run C) , 70%添加した破砕生ごみ (初期含水率61%, Run D) とした。コンポスト化実験は供試材料を高さ300mmに堆積し, 自然通気とスクープ型攪拌機での切返しを7日間行った。RunA, B, C, Dと放線菌種菌の添加量が多いほど, 高温発酵へ急速移行し発酵が促進すると考えられるとともに, 早期に低級脂肪酸濃度の最大が出現しその値は4条件間で一定の傾向がなくて, 臭気濃度も早期に最大となりその値は4条件で同程度であった。放線菌は実験期間を通して, 含水率の低いほど初期の放線菌数を持続し, 放線菌数の多少による低級脂肪酸の資化効果の差はみられなかった。これらの結果から, 放線菌種菌の添加は, 種菌調製資材が発酵促進の効果となり, そのために早期に臭気が低減するものと考えられる。添加放線菌そのものによる発酵促進および臭気発生抑制の実用的な効果は得られないものと考えられる。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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