廃棄物学会論文誌
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14 巻, 4 号
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論文
  • 横田 剛, 三枝 正彦, 伊藤 豊彰
    2003 年14 巻4 号 p. 183-190
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    産業廃棄物である浄水ケーキを添加した家畜ふん堆肥 (浄水ケーキ堆肥) におけるカリウムの溶出抑制, リン酸の溶解性制御および有機物分解抑制効果を, 資材無添加堆肥, ポリ塩化アルミニウムを添加した堆肥 (PAC堆肥) と比較検討した。
    1) 資材無添加堆肥ではほぼすべてのカリウムが溶出したのに対し, 浄水ケーキ堆肥では溶出が約25%減少した。
    2) 資材無添加堆肥と比較して, 堆肥中の可給性リン酸割合は, 浄水ケーキ堆肥では24~35%減少し, PAC堆肥では38~42%減少した。
    3) 作成した堆肥の炭素無機化率における反応速度論的解析の結果, 資材無添加堆肥の可分解性炭素割合は, 全炭素含量の26.1~26.3%, 浄水ケーキ堆肥では22.6~22.8%, PAC堆肥では17.4~21.1%と推定された。
    PAC堆肥は, 強いリン酸溶解性制御, 有機物分解抑制効果が見られたが, 発酵条件が悪くなる傾向があった。一方で, 浄水ケーキ堆肥は発酵状態も良く, リン酸溶解性制御, 有機物分解抑制効果に加えてカリウムの溶出軽減効果も認められた。
  • 惠谷 浩
    2003 年14 巻4 号 p. 191-199
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    放線菌種菌の添加による生ごみの高速コンポスト化と臭気発生抑制の効果を検証するために, 実際の規模・構造の発酵槽を用い, 4種類の供試材料を用いてコンポスト化実験を行った。4種類の供試材料として, 乾燥とpH調整した破砕生ごみ (初期含水率68%, Run A) , 放線菌種菌を52% (乾重基準) 添加した破砕生ごみ (初期含水率69%, Run B) , 58%添加した破砕生ごみ (初期含水率66%, Run C) , 70%添加した破砕生ごみ (初期含水率61%, Run D) とした。コンポスト化実験は供試材料を高さ300mmに堆積し, 自然通気とスクープ型攪拌機での切返しを7日間行った。RunA, B, C, Dと放線菌種菌の添加量が多いほど, 高温発酵へ急速移行し発酵が促進すると考えられるとともに, 早期に低級脂肪酸濃度の最大が出現しその値は4条件間で一定の傾向がなくて, 臭気濃度も早期に最大となりその値は4条件で同程度であった。放線菌は実験期間を通して, 含水率の低いほど初期の放線菌数を持続し, 放線菌数の多少による低級脂肪酸の資化効果の差はみられなかった。これらの結果から, 放線菌種菌の添加は, 種菌調製資材が発酵促進の効果となり, そのために早期に臭気が低減するものと考えられる。添加放線菌そのものによる発酵促進および臭気発生抑制の実用的な効果は得られないものと考えられる。
  • 肴倉 宏史, 水谷 聡, 田崎 智宏, 貴田 晶子, 大迫 政浩, 酒井 伸一
    2003 年14 巻4 号 p. 200-209
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    スラグは路盤材など粒状のまま利用される場合や, コンクリート骨材など材料として成形後に利用される場合が想定される。そのため, 長期環境影響の評価法も利用形状を反映できることが望ましい。そこで本研究では, 成形体の評価法である拡散溶出試験を, 粒状のスラグに適用する方法を新たに検討した。次に, スラグを骨材に用いたモルタルとともに, 実際に試験を実施して溶出量を評価した。
    主な成果として, (1) 溶出フラックスの勾配を用いる解析手法を示した。 (2) 粒状のスラグの実用球形度を測定し, 比表面積を計算する手法を示した。 (3) 粒状のスラグの試験結果から, 試験用の試料粒径は1~2mmで十分であること, 一部の元素は拡散律速溶出であること, および, pH4希硝酸は蒸留水よりも有効拡散係数を約1桁上昇させることなどを明らかにした。 (4) スラグを用いたモルタルと標準砂のモルタルとの結果の比較から, 使用したスラグ由来の環境影響は極めて小さいことを明らかにした。
  • ―ごみの低位発熱量推定, 圧密特性に係る基礎研究―
    角田 芳忠, 中塚 大輔, 伊藤 大輔, 武田 信生, 藤原 健史, 高岡 昌輝
    2003 年14 巻4 号 p. 210-218
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ストーカ式ごみ焼却炉におけるごみ供給量安定化システムの確立に向けた研究の一環として, ごみの見かけ密度と低位発熱量との関連を明らかにし, 模擬ごみを用いた実験によりごみの圧密特性を検討した。人口や地域差の影響はあるものの, ごみの見かけ密度と低位発熱量の間には強い負の相関関係が認められ, 見かけ密度の測定により低位発熱量の推定が可能となった。ごみ供給部でのごみの見かけ体積変化が大きく, ごみ供給量の推定にはごみの圧密を考慮することが不可欠である。実験により求めた圧密特性曲線は, 二次近似式で表される部分と一次近似式で表される部分からなり, ごみ組成により異なるものの基本的には同様の特性関数で表すことができる。
  • 宮崎 博文, 田中 圭, 井上 正文, 高梨 啓和, 平田 誠, 羽野 忠
    2003 年14 巻4 号 p. 219-227
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    木造軸組構法住宅の解体工事から発生する廃木材について, 建築用材等として有効利用を図るため, 作業効率性の高い手壊し解体工法を考案した。この工法を用いて実際に住宅解体工事を行い, 発生する廃木材の部材ごとの数量および品質を調査するとともに, 作業工程ごとの手間数を計測し作業効率の検証を行った。この結果, 建築用材等として有用な廃木材が単位床面積 (1m2) あたり0.071m3得られることがわかった。また, 作業手間数は, 同一条件の分別解体と比較して単位床面積あたり0.98人・時多く必要であったが, 廃棄物の発生量が減少することを差し引きすると, 環境効率性および経済効率性の高い工法システムであることがわかった。
研究ノート
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