廃棄物学会論文誌
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論文
埋立地土壌層における高アルカリ液中Caイオンの吸着
小野 雄策田中 信壽
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2003 年 14 巻 5 号 p. 268-277

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抄録
廃棄物の無機化に伴い埋立地浸出水にCaイオンが多量に含まれ, 浸出水処理設備などに影響を与えている。そこで, 覆土土壌層でのCaイオン吸着現象を検討した。Ca (OH) 2溶液を土壌カラムに通水したときのCaイオンの吸着量は火山灰土壌が最も多く, その破過点 (C/Co=0.05) での吸着量は300meq/100g-Soil以上であり, Caの吸着とともに流出液は中性化することもわかった。この吸着反応は, 土壌中において不解離の状態にある弱酸的な交換基を持つ (粘土) -OH, (腐植) -COOHのH+が, 高pHにより解離してCaイオンと交換されるとともに, 土壌から解離したH+とCa (OH) 2のOH-とにより中和されるものと推定された。さらに, 下水汚泥焼却灰溶出液を土壌カラムに通水しCaイオン吸着量を測定したところ, 当初にC/Co (溶出量/添加量) =0.4前後までCaイオンが流出する状態が継続した。これは, Caイオン量にくらべOHイオン量が0.6当量分しかなく, 0.4当量分はCaCl2のような中性塩として流出するためであることを明らかにした。また, 本実験に用いた試料条件のもとで下水汚泥焼却灰を3m埋め立てた場合に, Caイオンを火山灰土壌に吸着させるためには約0.5mの覆土厚が必要であった。
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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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