抄録
廃棄物処分量減量化と資源有効利用の観点から, 様々な廃木材のリサイクリングが検討されているが, リサイクリングプロセスにおける副生成物や廃木材原料とともに流入する可能性のある木材保存剤の挙動については十分に把握されていない。そこで, 廃木材チップを原料とした建築部材 (パーティクルボード) 製造プロセスにおいて重金属類, 有機塩素化合物, 多環芳香族炭化水素 (PAHs) の挙動を調査した。その結果, 原料としてペンタクロロフェノール (PCP) やクレオソートで処理された木材が混入している可能性が高いこと, 製造プロセスにおいて, PCPの不純物として含まれていたダイオキシン類 (PCDD/DFs) に加え, わずかながらPCP等を前駆物質としてPCDD/DFsが生成する可能性があること, 製品中にはその挙動に由来する化学物質が含まれることがわかった。本研究で調査できた検体数は限られており, 含有レベルのさらなる検証と分別・選別を中心にした管理は求められるが, 廃木材のパーティクルボード利用は管理の可能な, 重要な再利用方法とみなすことができる。