抄録
し尿系有機性廃棄物と, 家庭からの生ごみを対象にした高温メタン発酵処理の実設備からなる汚泥再生処理センターが日本で初めて2000年に稼動した。約2年間のメタン発酵処理データを元に, し尿系汚泥性状, 生ごみ性状, メタン発酵処理特性, 水処理への返流水の影響, ガス発電によるエネルギー回収等について検討した。その結果, 2年間安定したメタン発酵処理成績が得られ, 生ごみ投入量が多くなった2001年度ガス発電量は月平均で最大2, 240kWh/日に達した。これは, 汚泥再生処理センターの総電力量の15.3%に相当した。メタン発酵処理から発生する返流水が流入するため, 活性汚泥原水のBOD/Kj-N比は返流水がない場合に比べ低くなる傾向にあり, 第2脱窒素槽のメタノール添加量が多くなった。しかしメタノール増加量は全体のコストからみると影響はわずかであった。このように, 実プラント規模で有機性廃棄物の有効利用が可能となった。