抄録
家電リサイクル工場にて回収されたテレビ, 洗濯機冷蔵庫およびエアコン類から発生し, かっ水比重差方式にて樹脂別に選別分離されたプラスチックについて, ポリプロピレン (PP) 樹脂とポリスチレン樹脂 (PS) のマテリアルリサイクル性について評価を行った。事前調査評価の結果, 本方式で選別回収されたポリプロピレン樹脂は, 強度, 弾性率およびIZOD衝撃強度ともにマテリアルリサイクルへの可能性を見出すに充分な物性が示されたものの, ポリスチレン樹脂の物性は低く, 簡便なマテリアルリサイクル利用は難しいとの結果であった。次にこれらの事前評価結果を踏まえて, 本方式で選別回収されたポリプロピレン樹脂とバージンのポリプロピレン樹脂をブレンド混合して各種配合比率の再生ペレットを製造し, そのブレンド再生樹脂の物性評価を実施した。これらの物性評価およびSEMによる再生樹脂の内部構造観察の結果, 家電リサイクル工場にて発生し, かっ水比重差方式にて選別回収されたポリプロピレン樹脂は, 比較的容易にマテリアルリサイクル利用が可能であることが確認された。