抄録
微量有害物質として人体に対する影響が問題視されているダイオキシン類を含むごみ焼却飛灰の無害化を目的として, 飛灰スラリーの水熱処理を行った。
水熱処理によるダイオキシン (PCDDs) およびジベンゾフラン (PCDFs) の分解は温度の上昇, 時間の経過, 溶媒中のアルカリ成分およびメタノールの存在により促進され, 飛灰の種類にも影響された。熱分解法に比べかなり低温の373Kからダイオキシン類の分解が生じ, 573KではPCDDsおよびPCDFsの分解はほぼ100%に達しており, 2, 3, 7, 8-TCDD毒性等価換算濃度を0.03ng-TEQ/g以下の極めて低いレベルまで低減できる条件が存在することがわかった。メタノールを10vol%含む1N NaOH溶液の場合, PCDDsおよびPCDFsを一物質と仮定して得た活性化エネルギーは約13kcal/molであり, 反応速度定数kの温度依存性は, k=2.27×104exp {-13.2/ (RT) } で与えられた。