抄録
実験室規模の自己発熱型等温反応装置を用い, 二酸化炭素発生速度, および炭素変化率を測定することによって, コーヒーかすのコンポスト化速度を定量した。コーヒーかすのC/N比は24.2であり, 従来からいわれているコンポスト化の最適C/N比付近にあるが, 水溶性の窒素濃度は1.73×10-3g-N/g-乾燥コーヒーかすと全窒素の10%以下に過ぎずコンポスト化速度は遅いことがわかった。そこで, 水溶性含窒素化合物として硫酸アンモニウム, およびペプトンを添加したところ, いずれの場合もコーヒーかすの分解は促進されるが, ペプトンを添加したときの方が促進効果が大きいことを明らかにした。また, コンポスト化にともなう微生物相変化を測定し, 含窒素化合物を添加することで好熱性細菌の増殖が促進されることを見いだした。
なお, 含窒素有機化合物として火力発電所の排水路から回収された廃棄物である除去貝を用いたところ, コーヒーかすは32日間の短時間でコンポスト化が可能で, 除去貝の添加は高速コンポスト化に有効であることを確かめた。