廃棄物学会論文誌
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論文
クロム系廃棄物から流出する6価クロム化合物のセメント・ベントナイト系地中壁を用いた地下水汚染防止に関する実験的研究
柏谷 衛出口 浩上岡 誠一岩佐 弘
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1997 年 8 巻 2 号 p. 97-106

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抄録
埋め立て処分されてきたクロム系廃棄物が掘り返されると, 残留する6価クロム (Cr6+) 化合物が降雨時に流出し, 地下水を汚染する。このCr6+化合物による地下水の広域的な拡散を防止するため, 高炉セメントとNa型ベントナイトによる地中壁 (CB地中壁) で, 遮蔽する手法について実験的研究を行った。硬化発現中のCB地中壁の透水係数は10-7m/sオーダーであり, Cr6+化合物を遮蔽するには, 硬化発現の28日後には, 2×10-9m/s, またはそれ以下の透水係数を維持することが必要であった。MgCl2270mg/lとpH調整のためのCa (OH) 2の添加, MgCl2270mg/lにポリ塩化アルミニウム (PAC) またはAl2 (SO4) 3の付加材料を加えて透水実験を行ったところ, 前記では, pH9.0~9.5でCr6+遮蔽能力が向上でき, 後記のPAC添加では架橋作用に伴いゲル状疎水性コロイドを生成することから, CB供試体の透水係数を10-9m/sオーダーにまで短期間に低下させることができた。PACの最小添加量は約30mg/lであった。
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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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