廃棄物学会論文誌
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論文
高アルカリ飛灰の炭酸化と処理飛灰の溶出特性
野馬 幸生貴田 晶子
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1997 年 8 巻 4 号 p. 129-137

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抄録
可燃性廃棄物はできるだけ焼却後埋立処分する方法が一般的となっている現在, 埋立処分場においては, 焼却残渣中に濃縮された無機物に起因する問題が発生している。その一つにカルシウムスケールの問題があり, 処分場の集水管や浸出水処理施設でのポンプ, 攪拌翼, 回転円板等にスケールとして付着し, 支障を来す事例が起きている。
われわれは, カルシウムスケールの対策として, 飛灰中のカルシウムを炭酸化し難溶性の炭酸カルシウムを生成させて処理する方法にっいて研究した。
排ガスの塩化水素対策に水酸化カルシウムを噴霧している施設の飛灰を用い, 炭酸化の最適条件を求め, X線回折分析によって飛灰中の水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化していることを確認した。また, カルシウム化合物の溶出性の評価は, 通常の溶出試験 (固液比1/10) では不十分であり, 固液比1/200での溶出試験が必要であることを示した。次に, 未処理飛灰および炭酸処理飛灰を用いたカラム溶出実験を行ったところ, 累加溶出率は各々88%, 28%であり, この差が炭酸カルシウムに変化したカルシウムの量であることがわかった。また実験中に未処理飛灰ではカラム先端等にスケールが生成されたが, 炭酸処理飛灰ではスケールが生成されないことを確認でき, 高アルカリ飛灰を炭酸化する方法はカルシウムスケールの対策として有効と考えられた。
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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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