廃棄物学会研究発表会講演論文集
第19回廃棄物学会研究発表会
セッションID: C5-7
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C5 焼却灰の特性・安定化処理
多硫化物薬剤の焼却灰重金属固定化剤としての応用
*渡辺 信久孫 軼斐石川 宗孝
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抄録
焼却灰から溶出する重金属を安定化する用途に、多硫化物(Sn2-イオン, n=2~5)薬剤が適用できることを見いだした。多硫化物イオンは、Sn2- --> Sn-1 + S2-の緩慢な反応によって硫化物イオンを発生させる。硫黄とアルカリ薬剤を高温高圧で反応させることで、多硫化物薬剤(硫黄分 0.104 gS/mL)を作成した。既存の硫化物イオン系薬剤であるNaHS水溶液(硫黄分 0.0992 gS/mL)と比較した。都市ごみ焼却飛灰からの鉛の溶出抑制については、NaHSと同等もしくはそれ以上の効果がある。一方、毒性が懸念される硫化水素ガスの発生ポテンシャルは、NaHSでは9.8%(pH 9)であるのに比べ、多硫化物薬剤は0.062%(pH 9)と、大変低い。多硫化物薬剤は、硫化水素発生による危険性が著しく低く、従来の硫化物イオン系薬剤同等以上の重金属固定効果をもつ、低コスト薬剤として期待できる。
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© 2008 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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