日本水処理生物学会誌
Online ISSN : 1881-0438
Print ISSN : 0910-6758
ISSN-L : 0910-6758
報文
鹿沼土を濾材とした植物―濾材系水路の水質浄化特性
高砂 裕之尾崎 保夫阿部 薫
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 41 巻 2 号 p. 51-59

詳細
抄録

リンの吸着能を有する鹿沼土を濾材とした植物―濾材系水路の水質浄化特性を明らかにするため、鹿沼土を充填した簡易型水路を2系列製作し、一方の水路には飼料作物、もう一方には草花・ハーブ類を植栽して、窒素、リンに関する浄化特性を調査した。飼料作物水路と草花・ハーブ水路の窒素平均除去量は、それぞれ0.52 g・m-2・d-1 (最大0.9 g・m-2・d-1) と0.14 g・m-2・d-1 (最大0.21 g・m-2・d-1) となり、植物体の生育量が大きかった飼料作物水路の方が草花・ハーブ水路に比べ窒素除去能力が高かった。一方、両水路のリン平均除去量はそれぞれ0.22 g・m-2・d-1 (最大0.28 g・m-2・d-1) と0.24 g・m-2・d-1 (最大0.27 g・m-2・d-1) となり、両水路とも安定して高い除去量を示した。しかし、植物刈り取り後、草花・ハーブ水路では流出水のリン濃度が上昇し始め、浄化能力が低下し始める兆候が認められた。植栽植物 (地上部) による窒素とリンの吸収速度は、飼料作物では0.26 g・m-2・d-1と0.06 g・m-2・d-1、草花・ハーブでは0.06 g・m-2・d-1と0.01 g・m-2・d-1となり、生育量の大きかった飼料作物の方が、草花・ハーブより窒素、リンの吸収量が大きかった。これらのことから、鹿沼土を濾材とした植物―濾材系水路では、鹿沼土による吸着と植物による吸収の相乗効果により、安定して高いリン浄化機能が発揮される特徴が明らかになった。また、植物によるリンの吸収量を高めることは、濾材の吸着能力を長期間維持することに寄与することが示唆された。

著者関連情報
© 2005 日本水処理生物学会
次の記事
feedback
Top