わが国では,2030年までに温室効果ガス(GHGs)排出量を46%削減,2050年には実質ゼロを実現するという目標が掲げられており,生活排水処理分野においても、GHGs排出削減に向けた様々な取り組みがなされている。生活排水処理分野から発生するGHGsの排出削減は、確かな測定・評価方法の確立、メカニズムの解明とともに、社会実装を期待できる段階に達したといえる。本報は、生活排水処理分野の中でも、多様な視点からGHGs排出や削減に向けたアプローチを行っている各研究者における日本水処理生物学会第61回大会(川越大会)公開シンポジウムでの発表内容をとりまとめたものである。
シリカ(SiO2)は天然水中に溶存態、コロイド態、粒子態として広く存在しているが、市販されている「シリカ水」製品に含まれるシリカの物理的形態については十分に明らかにされていない。石英、クリストバライト、トリディマイトを含む結晶質シリカは、吸入曝露において発がん性を有することが知られているが、飲料水中での存在やその意義については体系的な検証が行われていない。本研究では、市販されている31種類のボトル入りシリカ水を対象に、X線回折(XRD)およびX線蛍光分析(XRF)を用いて、結晶質シリカ相の存在と沈殿残渣の化学特性を明らかにした。解析の結果、31製品中13製品から結晶質シリカが検出され、そのうちクリストバライトが最も多く、次いでトリディマイト、石英の順であった。XRFでは、酸素とケイ素が主要元素である一方、Na、Ca、C、Clなどの元素量には大きなばらつきが認められた。残渣の有機分率は8.3~23.2%、含水率は1.8~12.1%と製品間で大きく異なり、粒子成分および溶存成分の不均質性を反映していた。また、結晶質シリカの検出には地理的な偏りがみられ、九州などの火山地域に由来する製品でより高頻度に確認された。これらの結果は、ボトル入りシリカ水に含まれる粒子状および結晶質シリカに関する透明性向上の必要性を示すとともに、飲料水中のシリカ形態を評価するための標準化手法の確立が重要であることを強調している。本研究は、結晶質シリカの摂取曝露、体内利用性、生体影響に関する今後の検討に資する基礎データを提供するものである。