抄録
水俣湾の海水から採取したメチル水銀を揮発する20株のAlteromonas属細菌について、塩化第二水銀と塩化メチル水銀の揮発化反応を人工海水培地や魚の煮汁などで検討した。人工海水培地で、水銀を揮発できる最も高い濃度は、塩化第二水銀では、40 μg/ml、塩化メチル水銀では、2 μg/ml であった。この濃度における最も高い水銀揮発率は、塩化第二水銀では、54.7%、塩化メチル水銀では、96.7%であった。これらの細菌の内、メチル水銀を最も高率で揮発する1株(Alteromonas macledii)を選択し、この菌をカラギーナンビーズに固定し魚煮汁からのメチル水銀の除去を検討した。1 μg/mlの濃度のメチル水銀を含んだ魚煮汁からは、19時間で75%以上のメチル水銀が除去された。このメチル水銀揮発化細菌を固定し水銀を除去する方法は、将来的に魚処理工場などの排水からメチル水銀を除去するのに有効な方法であると思われる。