日本水処理生物学会誌
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生態工学技法としての植栽・土壌浄化システムにおける有機物・栄養塩類除去、温室効果ガス発生特性に関する解析
稲森 隆平徐 開欽桂 萍蛯江 美孝稲森 悠平松村 正利
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2006 年 42 巻 4 号 p. 185-197

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抄録
"本研究では、生態工学技法としての植物・土壌浄化システムにおける有機物・栄養塩類除去、温室効果ガス発生特性について解析・評価を行った。その結果、有機物としてのBOD等に関しては、90%以上の除去能(BOD除去速度 3.7g・m-2・日-1)が得られること、栄養塩類としての窒素、リン等に関しては、低濃度系のアシ・マコモを植栽したポットに関しては除去能が有機物と同じく90%の除去能(窒素除去速度0.9g・m-2・日-1、リン除去速度0.09g・m-2・日-1)が得られること、高濃度系のアシ・マコモを植栽したポットでは除去能が50%にまで特にアシ系の冬期の場合には、除去能が低下すること、温室効果ガスに関しては、アシを植栽した系の方はメタンガス発生量が低くマコモを植栽した系の方はCH4発生量が高いことなどが明らかとなり、エコエンジニアリングの一つの手法の特性を解明できた。すなわち本研究で得られた成果を総括すると以下に示すとおりである。1)アシ、マコモ植栽系のいずれにおいても90%以上のBOD除去率が得られたが、植物の生長からみると、植栽初期のアシに対してBOD 200㎎・l-1は高負荷であることがわかった。2)アシ、マコモ植栽系とも夏季から秋季にかけて窒素除去能は、ほぼ安定していたが、冬季では硝化反応が律速となり除去能はやや低下する傾向を示すことがわかった。3)メタンガスの発生速度はBOD 50、100、200㎎・l-1のいずれの流入濃度においてもアシ植栽系よりマコモ植栽系が高いことがわかった。4)水生植物植栽・土壌浄化法は、低水温域においても流入BOD 50㎎・l-1程度の低負荷条件では高い浄化機能を有していることがわかった。"
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© 2006 日本水処理生物学会
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