抄録
本研究では、土耕栽培おけるMicrocystinのコマツナ、キャベツ、クウシンサイへの発芽、生長、吸収・蓄積への影響について明らかにすることを目的として検討を行った。その結果、Microcystin-LR発芽、生育試験において、高濃度の1,000μg・l-1の添加においても発芽阻害、生育阻害が見られず、直播によるMicrocystinの発芽への影響は認められないことが明らかとなった。また、Microcystin添加によるクウシンサイの土耕栽培において1,000μg・l-1の高濃度条件ではMicrocystin-LR蓄積が確認されたが、コマツナ、キャベツにおいては蓄積が確認されず、土壌吸着分解等によってMicrocystin-LRが取り込まれないことが明らかとなった。なお、1,000μg・l-1の高濃度Microcystin-LRが含まれた場合においてクウシンサイではMicrocystin-LRの蓄積が起こったが、コマツナ、キャベツ、クウシンサイへの1日推定曝露量(EDI)、耐容1日摂食量(TDI)からのリスク評価で、食の安全性から見た場合、灌漑による作物の人間に及ぼすリスクは無いことを明らかにすることができた。