抄録
Navicula watanabei H. Fukush., Kimura & Ts. Kobay. nov. sp.は日本の河川に広く分布し、β-中腐水性の良い指標種になると考えられる珪藻である。本種は故渡辺仁冶博士が淡水珪藻生態図鑑にNavicula subrostellata Watanabe et al. nom. nud.として裸名で発表された。渡辺博士と相談の結果、福島らがNavicula watanabei H. Fukush., Kimura & Ts. Kobayとしてprotologueを発表することになったものである。Nav. watanabeiは殻長:20.5-32μm、殻幅:6.5-9μm。条線は中央部で放射状、先端部で収斂し、条線密度:9.5-11.5/10μm、点紋密度:26-34/10μm。中心域はdistaff sideで四角形、staff sideは円弧形である。日本各地の出現個所から本種は流水性でβ-中腐水性、好アルカリ性種と考えられる。