抄録
(1) 上田市内矢出沢川の河川水, 底石面, 底泥及び河川周辺土壤におけるFusarium菌の種類及び存在量を調査したところ, Fusarium roseum, F.solani, F.oxysporumが各試料から多く採用され, F.episphaeria (F.aquaeductuumを含む) , F.tricinctum, F.moniliformeも時として採集された。底石面においては河川水中よりも多くのFusarium菌の種類が分離されたが, 調査地点 (汚濁度) との関連は明らかでなかった。底泥及び河川周辺土壌についても底石面と同様なことがいえる成績であった。
(2) Fusarium菌の種と水中BOD除去率との関係をみると, 供試したFusarium oxysporum, F.solani, F.roseum‘Graminearum’, F.roseum‘Avenaceum’, F.episphaeriaの各菌株の間に大きな差異はみられなかった (25℃6日間の振とう培養によるBOD除去率は約70~80%) 。しかしF.oxysporumのばあいは, 他の種に比して菌体重量の増加にともなうBOD除去の効率は悪い成績を示した。
(3) Fusarium菌の種と水中シアン分解能力との関係をみると, 供試8菌株中F.episphaeria1菌株 (74.4%除去) を除いて各種各菌株ともシアン分解除去率は90%以上の高い値を示した。