日本水処理生物学会誌
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鉄酸化細菌による硫酸鉄 (II) の酸化生成物の結晶生成過程
猪口 眞美鈴木 彰
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1983 年 19 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

強酸性下に棲息する鉄酸化細菌 (Thiobacillus ferrooxiadans) を用いて, 鉄酸化過程を調べるとともに, 細菌により生成された黄褐色の沈澱を赤外吸収およびX線回折によって解析し, 結晶の生成過程を考察した。
1) 菌株を含む9K培地を28℃で振とう培養したところ, pHは2.85から培養9日目に2.00となった。
2) 鉄 (II) の減少率は含菌の場合, 培養1日目25%, 2日目37.2%, 3日目68.8%, 6日目100%であった。無菌のものはほとんど減少していなかった。
3) 赤外分光分析の結果から, 酸化生成物はアンモニアと硫酸を含むAmmoniojarosite様のものあることがわかった。
4) X線回折の結果から, 酸化生成物はAmmoniojarosite様の結晶を有することがわかった。また, 培養後4~5日目に結晶はほぼ完全に生成されると考えられる。

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