1990 年 26 巻 2 号 p. 23-27
霞ヶ浦から採取した底泥の共存下において、旗線菌によるカビ臭発生に及ぼす栄養因子、とくにMicrocystisの影響に検討を加えた。底泥抽出液を放線菌の基本培地として用いた実験では、カビ臭発生に対し、デンプンが有効であり、さらにカビ臭は、デンプンにリンが加わると一層促進された。底泥を放線菌の基本培地とした系では、カビ臭発生にはデンプンが効果的であったが、このデンプンに相当する物質として加えた高濃度のMicrocystis aerugcnosaが効果的な役割を果すことが明らかとなった。霞ヶ浦において、放線菌が関与するカビ臭発生には、底泥中への高濃度のM.aeruginosaの沈積と好気的な要因が重要であると考えた。