紙全層の繊維配向をオンラインで計測することを目的として,非接触,非破壊の繊維配向測定方法の検討を行い,光透過法の有効性を確認した。光透過法とは,紙に集光したレーザー光を照射すると紙層内で光は繊維に沿って広がり(光ガイド効果),裏面に発生する小さな光の楕円(繊維配向反映)像の形状から繊維配向を評価する方法である。
抄紙機上を高速で走行する紙を計測するために,ナノ秒パルス(YAG)レーザーを用いた静止画像の取得,用紙のバタツキ等の走行不安定性に対してはピントがズレ難い超被写界深度レンズを採用し試作機を作成した。パイロットコータにおいて1,000m/minで走行する各種用紙の計測テストを行った結果,従来のオフラインの繊維配向測定機との間に高い相関関係を確認した。
さらに,実機BM計へ搭載するために装置のコンパクト化を実施し,高輝度の半導体レーザーを光源に使用した。半導体レーザーは発光部が矩形であるため,真円の微小光スポットを得ることが困難であったが,小径(φ60μm)の光ファイバーを結合することにより,良好な光スポットを得ることができた。コンパクト化を実施した装置は,YAGレーザーと同様に高速走行紙の計測が可能であり,紙全層の繊維配向のオンライン計測が可能であることが確認された。