紙パ技協誌
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第66回―2023年紙パルプ技術協会年次大会特集
第51回佐々木賞受賞講演
  • 氏家 章吾, 森 信太郎
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    Kurita Dropwise Technologyは,蒸気を使用する熱交換器に撥水性を付与することで熱伝達率を向上させ,生産設備の生産性向上や省エネルギー(CO2排出量削減)に貢献するクリタ独自の技術である。本技術は国内外の様々な業種において300設備以上の適用実績がある。製紙工場においては,最も多くのエネルギーを使用する抄紙機ドライヤーパートを対象に,本技術を活用した「ファインスチーム」が国内外で150件以上の技術導入が進んでいる。そして各所における蒸気原単位の改善率は3~10%と高い値が実証できている。近年,蒸気原単位の改善に加えて,抄速の向上,ドライヤー駆動電力消費量の低下,メンテナンスの削減,ドレン回収率の上昇,立上げ時間の短縮,損紙量の削減などの様々な価値を創出できることも確認できた。また,これら効果の発現が難しいとされていた高速マシンにおいても,設備条件次第で本技術の効果が得られつつある。
    更に,本技術は,蒸気を使用する全ての熱交換器に適用可能であるため,製紙工場の新たなプロセス設備への導入を進めている。一例として,黒液エバポレータ,発電ボイラのタービン復水器,パルプシートマシンの乾燥工程が挙げられる。
    今後はさらに本技術を導入する業種・設備の幅を広げ,蒸気の利用効率を最大化させることにより,カーボンニュートラルを始めとした社会と企業の共通価値の創出に貢献する所存である。弊社は水と環境に関わる多数のソリューションをグローバルに提供している。本技術を起点とし,当社と共に操業改善に取り組むきっかけとなれば幸いである。
  • 岩谷 陽一郎
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    これまでのパルパーデトラッシュシステムは,一般的にはバッチ式の処理であった。確実な繊維回収には有効であったが,近年の悪化する古紙原料事情に対応しきれず,パルパータブ内の粗大異物除去効率は低下の傾向であった。今後も,未選別古紙の使用割合は増加していく傾向であると考え,完全な連続式デトラッシュシステムであるS-PALシステムについて提案し,実績を報告する。
    S-PALシステムは,それぞれ新規に開発された無閉塞ポンプ・デトラッシャー・ドラムスクリーンから構成される。連続的に異物の処理が可能となった結果,処理効率は大幅に向上。供給される異物に対して,処理効率が上回る結果となった。
    これら新技術は,日本国内のみならず,全世界的に採用・実績が進んでおり,今後もより厳しくなる現状に対抗できる提案であると確信している。
一般講演
  • 木村 浩, 山内 拓哉, 真壁 和彦, 清水 正裕
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    日本製紙石巻工場1 KP工程ではNBKP(針葉樹材)を製造している。近年,使用材種の国内材化に伴い,国産材に多く含まれるCaの影響と考えられる木釜へのCaスケールを含む汚れ付着が顕著化した。このため,連続操業を維持(半年間)できない,或いは,蒸気原単位悪化等の蒸解効率を低下させる状況となっていた。
    従来,Caスケールを含む汚れに対して,シャットダウン(SD)毎に木釜頂部と本体をスルファミン酸にて洗浄し除去,設備の健全性の回復を図ってきた。しかし,スルファミン酸はCaスケール溶出には効果が高いものの,酸による木釜母材への腐食のリスク,人力での溶解作業を伴う高い作業負荷,酸洗後の酸液中和・放流作業では硫化水素ガスの発生リスク等があり,細心の注意を払った作業となっていた。
    そこで今回,栗田工業株式会社より木釜の洗浄薬品にキレート剤を使用する提案を頂き,我々の過去の操業経験を踏まえ,SDでの洗浄テストを実施した。その結果,スルファミン酸洗浄の場合と同等のCaの溶出を確認した。さらに,トップセパレータバスケット目視点検では劇的なCaスケールを含む汚れの除去を確認できた。また,蒸解ヒーターチューブでも付着Caスケールが少なく,従来実施のジェット洗浄作業を回避した。
    以上,木釜洗浄へのキレート剤適用は有効な手段であることが確認できた。そして,KP工程のCaスケールを含む汚れが引き起こす様々な問題に対し,キレート剤は安定操業の維持,作業軽減・安全性の確保をもたらし,さらには,コストダウンにも貢献すると期待される。
  • アレクシス メテース, 蘇 涛, 坂本 沙織, 疋田 清光
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    2022年にエネルギー価格が大幅に上昇し,不安定な状態が続いている。これにより,競争力のあるパルプの漂白コストと温室効果ガス(GHG)排出削減の両方の目標を一度に満たすことがより難しくなった。本稿では,まず,化学パルプの漂白に関与する主要な化学薬品の製造におけるエネルギー需要(酸素,オゾン,二酸化塩素,過酸化水素)と必要な化学物質の前駆体について検討する。その後,異なる国の電力グリッドの影響を考慮して,カーボンフットプリントを評価し,パルプ製造業者および地域の規制当局の支援に寄与することを目指す。
総説・資料
  • 木坂 隆一
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 1 号 p. 45-67
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    1450年ドイツのグーテンベルグによって開発された印刷は,紙を媒体とする情報伝達手段として発展してきたが,インターネットの普及により印刷物からディスプレイへ移行し,カタログ,ポスターなど商業印刷の減少が加速する状況にある。一方,コンピュータの出現により,1990年頃からオフセット印刷とは機構が異なるものの「オフセット印刷に近い出力品質」が得られ,かつ商業印刷における「小ロット・多品種・短納期」の要求に応えるオンデマンド印刷機(電子写真方式やインクジェット方式など)が多数登場し,2000年代になるとデジタル化およびカラー化の要素技術の飛躍的な向上を背景に,その利用分野は商業印刷や写真印刷へと拡大が見られ,今後も市場への浸透が進むと予想されている。
    本稿は,オンデマンド印刷機の技術革新とそれに使用される用紙について,電子写真用紙,インクジェット用紙に分けて報告するもので,市場からの要望性能(高画像化,高機能化,低コスト化など)に如何に対応してきたかを,既報文および筆者がこれまでに携わった用紙の開発結果を基にまとめた。
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