e-無線巡回は,振動加速度と温度を監視する低コストで簡単に使用できるシステムとして2014年に開発され,現在第5世代が販売中である。累計販売台数はグループ内で約2,500台,全業種で約7,400台に達した。e-無線巡回は,振動加速度と温度を監視するという目的で,開発コンセプトとしては,「安価で簡単に使えるもの」を目指した。このコンセプト達成の為,搭載する機能は可能な限りスリム化し,必要最小限の機能で製品化を図った。
設備保全の人材不足を補い,測定結果を「見える化」し,熟練技術者の勘やコツといった暗黙知を形式知化することで設備保全に活用すると共に技術継承やAI活用を促進する。
日本製紙白老工場や秋田工場での導入事例では,故障予兆管理や温度相関異常検知による設備異常の早期発見が可能となり,保全効率化や火災予防に貢献している。今後はIoT拡張や多様なセンサー対応を進め,設備の安定操業と技術継承を支援していく方針である。
弊社では,粉体品や水溶液タイプが主流であった歩留り剤に超高分子量のエマルションタイプのポリマーを導入するために1998年からエマルション合成の検討を開始した。2000年に「リアライザーRシリーズ」として上市し,今日まで改良を続けながら多くの抄紙マシンに適用してきた。2020年から新しいコンセプトである「リアクティブポリマー」を開発し,様々な抄紙マシンへの展開を進めている。高機能歩留り剤「リアライザーRシリーズ」が新聞用紙マシンの中性抄紙化の際に填料に対して高い歩留り効果を発揮できたことから,大型塗工紙マシン,板紙マシンに展開し,近年では,海外の大型高速板紙マシンへの適用も進んだ。低添加量で高い歩留り効果を発揮できるためコストダウンと環境負荷低減に大きく貢献している。
「リアクティブポリマー」を導入した多機能凝結剤「リアライザーAシリーズ」は,紙力剤等の各内添薬剤の定着性向上機能を付加しているため,板紙マシンでのPAM系紙力剤の定着性が向上し,添加量削減の実績もできた。凝結剤からのアプローチにおいてもコスト削減と共に環境負荷低減に貢献できる様になった。
本稿では,リアライザー開発の経緯とともに,「リアクティブポリマー」を導入した歩留り剤・凝結剤である「リアライザーRシリーズ・FXシリーズ」・「リアライザーAシリーズ」によるコスト削減と環境負荷の低減に加え,紙の品質および操業性の向上効果について,実例を交えて紹介する。
経済産業省は2018年に発表した「ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開」で,国内外の競争力を高めるための生産効率化戦略の必要性を警告した。
製造業各社はDX推進のための部門を設けてはいるものの,OT部門のレガシーシステムがブラックボックス化し取り組みが遅れているのが現状である。
このような背景から,新川電機はボトムアップの仕組み「SHINKAWAプラットフォーム」を開発した。
SHINKAWAプラットフォームは,製造業のOT部門がDXを進めない理由として挙げられるアナログ計器のデジタル化コストやレガシーシステムの更新困難性,そしてシステム構築の個別化と複雑化に対応するソリューションである。
具体的には,既存システムやクラウドサービスを活用し,情報の可視化と共有化を図ることで生産効率を向上させつつ,投資コストの低減を目指している。
このプラットフォームには,既存システムの継続利用による全体最適の実現,ブラックボックス化の解消,企業の業態に適したシステムの実現,スモールスタートの導入が可能となる点が特徴である。
また,スマートダッシュボードを通じて技術伝承を支援し,業務における調べものの時間を短縮することで働き方改革にも寄与している。
SHINKAWAプラットフォームは,データの一元管理と効率h向上を目的とし,多様な既存システムからのデータを活用して業務プロセスの最適化を追求する。
一般的なデータプラットフォームに必要とされる大規模な投資コストを抑えつつ,必要なデータを適切に取り出す設計がなされている。
そのコンセプトの一つは,設備異常の分析における振動情報の価値を重視し,リアルタイムの異常分析により予防予知を可能とすることである。
また,情報のコンテキスト化やプロセスデータの収集と見える化を進め,静的データとの統合管理を図ることでDX推進と作業効率向上を目指している。
最後に,SHINKAWAプラットフォームは現状に留まらず,製造業のさまざまなシステムやサービスへの展開を進め,さらなる活用を目指す。
製造業では,資源を効率的に活用しつつ高品質な製品を安定して生産することが求められているが,人手不足やエネルギー価格高騰などの課題がある。TMEICはこれらの課題解決のため,AIを活用したDX技術や省エネルギー機器によるGXを推進している。
AI解析システム「TMBee-Atom」は,時系列データを用いて製品品質や設備異常の要因を特定し,予兆検知を可能にする。さらに,回転機診断システム「TMBee-M」は軸受け不良や絶縁劣化を診断し,突発停止を防止できる。省エネ事例では,半導体工場の熱源設備を最適化し,EMS導入により電力使用量を約60%削減した。また,加湿装置「TMfog」は蒸気式に代わり,最大85%のエネルギーコスト削減を実現した。
「紙」は人に,そして環境に優しい最良の材料であり,近年の脱プラスチックの流れと新素材への期待から,今後多くの可能性を秘めた材料でもある。ABBはお客様の課題に対し,複数のアプローチからなる包括的なソリューションを提供している。
昨今の人的資本の確保の難しさと,コスト・品質に関する継続的な挑戦の課題を両立するために,ABBはオペレータによる経験測に基づく運転から,計測データに基づくプロセスの予測・制御の実現のために,リアルタイム計測によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を強くお勧めしている。
多くのお客様で,長年の経験を有するオペレータが,知識と経験に基づくプロセスの予測を行い,適切なアクションをとることで,安定した操業・品質管理を実施されてきた。昨今,オペレータの世代交代により,安定した操業・品質管理は徐々に課題として認識されてきている。
「オペレータの長年の経験=定量的なデータの蓄積」であり,その蓄積が「経験に基づく予測=ビックデータ解析による予測」を可能となり,予測に基づく制御が「適切なアクション=自動制御」を実現する。つまり,OTのDXの推進には,まず初めに信頼性の高い計測データを蓄積することが重要である。
本稿では「パルプ編」として,原質プロセスにおけるリアルアイム計測に有益な機器,その原理,並びに活用事例についてご紹介する。
製紙分野における酵素を利用した技術は,様々な用途で検討が進んでいる。弊社においても,新たな酵素系フィブリル化促進剤,酵素系離解促進剤,酵素系ピッチコントロール剤を導入した。
酵素系フィブリル化促進剤ハーコボンド8988APは,従来のハーコボンド8922に比べ短い反応時間でも効力を発現し,また少量でも作用して紙力増強効果を発現できる。またハーコボンドE-1160は,引張強度の増加に加えZ軸強度も上昇させる特性がある。
酵素系離解促進剤として導入したDPD-1119は,従来の離解促進剤とは異なり,アルカリを使用しないためpHの変動がなく中和する工程を必要としない。またアルカリによる繊維の劣化も起こらない。塩素も使用しないため紙色調への影響もなく塩素ガスなどによる安全性上の問題も発生しないなどの利点がある。
酵素系ピッチコントロール剤ゼニックスDC8106は,ピッチ・スティッキーと反応して分解する作用がある。分解によって細かくなったピッチは,カチオン剤を併用することによりパルプに歩留まらせて系外へと排出でき,さらにピッチコントロール効果を高めることができる。
これら新規酵素系薬剤について,その性能と活用事例について紹介する。