紙パ技協誌
Online ISSN : 1881-1000
Print ISSN : 0022-815X
ISSN-L : 0022-815X
総説・資料
磁気分離による製紙工場の廃水処理
―再使用可能な水の製造―
福西 興至井田 寛柿原 義行
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 60 巻 6 号 p. 904-910

詳細
抄録

製紙工場からの廃水処理を高勾配超伝導磁気分離技術によって容量2,000トン/日規模での処理が可能。2,000トン/日プラントは担磁槽,沈澱槽,磁気分離槽の主要な槽からなり,担磁槽では懸濁物質,水溶解性物質の汚濁物質をマグネタイト微粒子,凝集剤として硫酸バンドを用いて担磁する。このようにして担磁した磁性フロックは沈澱槽において急速に沈降する。沈降し得なかった磁性フロックは磁気分離槽で磁性フィルターによって捕捉,分離される。このようにして処理された水はリサイクル水として再使用可能。
用いた製紙廃水のCOD値は60~200mg/Lの範囲にある。凝集沈澱と磁気分離処理によりCOD値は40~60mg/Lに減少した。また,透明度も著しく上昇した(濁度5~10NTU)。
磁気分離部には3Tの超伝導磁石が設置され,口径400mmの円筒状の筒に磁性フィルターが詰められている。磁性フロックは98%以上の高い効率で磁性フィルターに捕集された。汚泥の付いたフィルターの洗浄と交換が連続的に行なえるシステムを開発し,超伝導磁石を止めることなく,連続的に廃水2,000トン/日の廃水処理の実用化試験を行っている。

著者関連情報
© 2006 紙パルプ技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top