紙パ技協誌
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パルプ特集
世界のパルプ需給と発展する中国の古紙事情
新井 稔野間 隆行井原 信之
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2006 年 60 巻 7 号 p. 973-976

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抄録

国際市況商品である市販パルプは,常に需給バランスに左右されながら価格は上下を繰り返してきた。市販パルプ生産者を取り巻く環境は,エネルギー高騰,為替変動,原材料確保などの観点から大きく変動しつつある。今後の需給バランスを考えると,供給面では南米を中心にLBKPの新増設が目白押しであり,NBKPの供給能力を上回っていく。需要面では,欧米,日本などでは成熟市場となっているが,今後も中国におけるパルプ需要は伸び続けると考えられる。また,原燃料費の高騰,対米ドル自国通貨高はサプライヤー各社の収益を圧迫している。特にカナダにおいてはコスト増大が顕著であり,NBKPを中心に市販パルプからの撤退も起こりつつある。以上のような状況より,今後NBKP/LBKPの価格差は拡大傾向にあるものと思われる。
昨今,中国での古紙需要は年々増加して,日本からの古紙輸出先も中国向け80%を超えてきた。その状況下,中国における古紙市況が日本の古紙市況に与える影響は大きくなりつつある。今後の中国の紙・板紙生産の新増設がある中で,原料確保のためには,輸入調達と国内での回収率を高めることが重要となる。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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