紙パ技協誌
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総説・資料
新型レーザーピーク濃度計
バーテイル オルソン
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2006 年 60 巻 9 号 p. 1348-1354

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抄録

パルプ濃度調整の必要性は,パルプと製紙製造プロセスのコストが上昇し,工場利益が減少する時,コスト軽減に寄与出来る事である。
製紙製造工程に関連するコストは,多くの場合全コストの50%以上になり,全体コストで大きな比重を占めている。
濃度はコスト管理の一つの要素である。しかし,正確な濃度管理は,多くの問題を抱えている。パルプは,多くの異なった原料から構成され,繊維分,フィラー,薬品とその他添加剤の配合比が異なるか変化する場合が有る。これらは,異なった品質の紙が作られる一因になっている。
品質の安定した良い製品を最終的に製造する事は製紙業界で成功する為のキーであり,最優先項目として捉えなければなりない。そして併せて重要な点は,パルプ濃度を明確に限定する事である。
今日まで,濃度測定の一般的技術は,せん断抵抗を基本としている。この方法は堅牢でシンプルであるが,様々な影響を受け易く,使用の制限がある。この方式は繊維強度測定を基本として考えられ,それは繊維タイプとフリーネスに依存している。この方式での他の影響は,測定値は繊維だけが含まれており,微細粒子と填料は含まれていない点である。しかしながらこれらの制限があるにも拘わらず,BTG社製MEK―2400は,世界で最も信頼され紙パ業界で使用されている濃度計である。
光学技術を基本とした濃度計として,反射又は透過式が有る。これらは一般的に繊維のタイプに依存し,フィラーとファインに過度に反応する事がある。
マイクロ波技術を原理とした濃度計は,パルプ原料に含まれる気泡,電導度が測定に影響を与える恐れがある。マイクロ波技術は,ほとんど全体濃度の測定を行う,それでもフィラーは実際の60%程度の測定に留まる。
以上の状況を踏まえ未来型パルプ濃度計としてスペクトリス社はレーザーピーク濃度計モデルTCR―2300を開発した。レーザーピーク濃度計はBTG社特許のピーク法を用い精度高くパルプ濃度測定を可能とした画期的な濃度計である。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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