紙パ技協誌
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総説・資料
高速広幅マシン用サクセスフォーマ
佐野 秀樹加藤 育洋
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2008 年 62 巻 8 号 p. 980-985

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抄録

国際的な競争がますます激化する紙パルプ業界にあって,板紙の生産性と品質を併せて向上させ,競争力を強化するために有効な抄紙機として「サクセスフォーマ」がある。
このフォーマは,省エネルギーで優れた品質特性を実現し,国内外で広い範囲の板紙の生産に採用され高い評価を得ている。
このフォーマは「K―FLOW」シリーズのヘッドボックスと組み合わされ,フォーミングワイヤ,メーキングワイヤ,トランスファフェルトで構成されており,ヘッドボックスは中速用のエアクッションチャンバ付きと,高速用のハイドロリック型があるが,いずれも特殊設計のタービュレンスジェネレータによって,均一で良好な繊維分散効果が得られる。フォーミングワイヤには各種のフォイルを,メーキングワイヤにはダンディロールとデフレクタなどが備えられており,ダンディロールの効果により,優れた地合を得ることができる。
近年このフォーマが中国でも高い評価を得て注目され,理文造紙へライナボード抄紙機として2000年に東莞PM3そして2003年に常熟PM5を納入し,円滑な立ち上がりと優れた製品品質が評価された。 さらに2006年には高速広幅マシンとして,オクトパスストックアプローチシステム付きヘッドボックスを備えたサクセスフォーマが,PM10,PM11,PM13として採用された。PM11は2007年8月の稼動予定である。
製品の高品質と円滑な立ち上がりの決め手は,抄紙機本体のみならず,プロジェクトの計画当初から参画し,エンジニアリングサービスとしてプラント全体の設計や,付属機器等について適切な指導助言をおこない,機器の製作や現地工事についても管理を徹底させることであると考えている。

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© 2008 紙パルプ技術協会
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