紙パ技協誌
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一般講演
ライムキルン低周波音・振動対策
久次米 智文
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2011 年 65 巻 1 号 p. 62-65

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抄録

当社高岡工場能町の苛性化工程は,No.2ライムキルン(φ2.7m×55mL)及びNo.3ライムキルン(φ3.0m×65mL)の2基のロータリーキルンを有している。一般的に,ロータリーキルンは,燃焼・共鳴による空気振動から低周波音振動及び駆動部から振動を発生させる機器として知られている。当工場では,平成17年から同20年に掛けて,工場周辺住宅地の住民の方から建具や薄型テレビが揺れる,また時には家の軋むような大きな振動がある等の苦情が寄せられた。調査により,振動は(1)建具の微振動,(2)家具の揺れる振動,(3)家屋の軋む様な大きな振動の3種類に分類され,それぞれは,キルン周辺から発生している低周波音による建具等の共鳴,微振動及びキルン駆動部を起振源とする振動が,周辺住宅へ伝播共鳴し,家具,家屋等の振動として発生している可能性が高い事が確認された。
 低周波音対策として,建屋開口部の閉塞工事及びチップスクリーンの更新を図った事,また,振動対策として,No.2ライムキルン駆動部整備,及びNo.3ライムキルンの回転数制御による振動の低減を図った事により,周辺家屋振動問題の改善,地域環境レベル改善を図る事が出来た。

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© 2011 紙パルプ技術協会
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