日本は,国土面積の約70%を森林が占めている世界でも有数の森林大国であるが,一方で,輸入木材との価格競争や山間部の人手不足等により一部の森林では適切に管理されず,特に針葉樹の人工林では,健全な樹木の生育に必要な間伐が実施されておらず,森林が荒廃し,土砂崩れ,土石流等の災害の一因になっている。
このような状況下,針葉樹の人工林で必要な間伐を継続的に実施して森林を健全化する取り組みとして,三菱製紙では2005年より環境NPOオフィス町内会などと協働で「森の町内会 間伐に寄与する紙」を立ち上げた。この「間伐に寄与する紙」の特長は,間伐費用の不足分を補完するために紙代に「間伐促進費(紙1kgあたり15円)」を付加していることである。ユーザー(間伐サポーター企業)はこの紙を購入・使用することで,間伐促進費全額が間伐と間伐材の有効利用に充てられ,間伐促進に貢献できる仕組みになっている。本稿では,「森の町内会 間伐に寄与する紙」の仕組みと普及状況などについて紹介する。