紙パ技協誌
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総説・資料
LED照明に用いられる異方性拡散シート(ナノバックリングシート)の開発
西郡 大介
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キーワード: U7電気, T0その他
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2012 年 66 巻 5 号 p. 497-500

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抄録

2011.3.11の東日本大震災以降,節電意識の高まりもあり,従来の白熱灯や蛍光灯と比較して省電力で有利である発光ダイオード(以下,LED)素子を使用したLED照明への置き換えが急速に進みつつある。また,LED光源から発せられる光は紫外線波長域を殆ど含まないため,虫が集まりにくいという特徴がある。
照明用途として使用するには,LED素子は点光源であるため,一般的には拡散粒子を用いた拡散法(以下,一般拡散法)にて,点光源を面状や線状光源に変換するが,この拡散方式では照度が低下するという問題がある。
王子製紙は,一般拡散法よりも照度を低下させず,よりLED光を効率よく取り出すことのできる,異方性拡散シート(以下,ナノバックリングシート)を開発した。
得られた特徴に関する検証結果をまとめると,
1)ナノバックリングシートを用いた直管形LEDは一般拡散シートを用いた直管形LEDよりも高照度が得られた。
2)ナノバックリングシートを用いた直管形LEDはオフィスの作業高さでは蛍光灯とほぼ同じレベルの照度が得られた。
3)ナノバックリングシートを用いた直管形LEDは一般的なLEDの特徴である省エネルギー,熱特性,防虫性についても一般拡散シートを用いた直管形LEDと同等の結果が得られた。
となる。
本稿では,これらの特徴に関して具体的に紹介する。

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