紙パ技協誌
Online ISSN : 1881-1000
Print ISSN : 0022-815X
ISSN-L : 0022-815X
製紙技術特集II
マレーシアをはじめとした東南アジアの板紙動向と工場操業経験
松山 慎二
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 67 巻 10 号 p. 1107-1111

詳細
抄録

近年,日本国内製紙産業においても,長期の円高の定着による国内製造業の空洞化,少子高齢化に伴う需要の減少,ICT化の進展,輸入紙の増加により国内製紙産業は,厳しい環境下である。今後は,海外ビジネスの拡大と技術協力がますます必要である。
王子ホールディングスは,1970年代より積極的な海外展開を行っていたが,このような国内環境であるため,2001年度中長期計画で「内なる充実,外への発展」を掲げ,国内においては設備の統廃合を含むコストの削減を進め,基盤の強化を図る一方,海外においては,特に今後の成長が期待できるアジア地区での新規の事業展開を行ってきている。
この海外事業展開方針に沿って実行されたのが,マレーシアにおける王子ペーパーアジア(OPA)の設立であり,王子グループ海外製紙工場となったGSペーパー&パーケージング(GSPP)社の取得によりマレーシアが重要拠点となった。東南アジアでの板紙需給実績と今後の伸びについて注目し,今後の海外展開への指標の一つとなる。また,王子グループ海外製紙工場となったGSPP社の抄紙機における操業改善の取り組みで年間9,000t強の大幅な増産に寄与できた。これは,増産改造工事を実施せずに無抄時間の短縮によるものである。これから,ますます事業展開が加速する東南アジア,南アジアにおいて日本の技術協力は,不可欠である。

著者関連情報
© 2013 紙パルプ技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top