紙パ技協誌
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総説・資料
オーストラリアンペーパーでの第一陣駐在員経験
杉野 光広
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2013 年 67 巻 11 号 p. 1322-1326

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抄録

2009年に日本製紙が豪州最大の製紙会社であるオーストラリアンペーパーを買収,同社が日本製紙グループの一員になったことから,第一陣駐在員として主力工場であるメアリーヴェール工場に赴任した。約4年の駐在中,収益改善のため現地管理層と多くの議論を重ねて,互いに納得した上で,様々な改革を実行した。その中には小集団活動などいくつかの日本製紙の遺伝子も含まれているが,これらは現地に合うように多少アレンジして導入した。また,その市場に合った製品を販売するという意味においては,豪州の高い環境意識対応のため再生紙生産を増強することを決定し,現在,メアリーヴェール工場に脱墨パルプ工程を建設中である。この設備は来年稼働する予定であり,技術面では日本製紙の全面的なバックアップを受けて進められている。
仕事以外では移民の国であるオーストラリアということもあり様々な国の人と交流ができその文化に触れることができた。特に工場のあるラトローブ市の国際交流委員会委員を2年ほど勤めさせていただき,姉妹都市との交流を担当したことは貴重な経験であり,多くの友人を作ることができた。4年の駐在経験を経て痛感したことは,海外進出には現地と建設的な議論を通して改革を実行できるグローバル人材を育てていかねばならないことである。これは現地と対等に議論できる語学力を持ち,現地の文化を理解し,現地へ入り込むバイタリティー,タフさを持った人材ということになり,ハードルは高いがこれからの若手に期待したい。

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© 2013 紙パルプ技術協会
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