紙パ技協誌
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総説・資料
ブラジル北部における製紙用植林木の特性評価
福田 雄二郎新屋 智崇岩田 英治林 和典小野木 晋一河岡 明義
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2013 年 67 巻 2 号 p. 113-118

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抄録

Amapa Florestal e Celulose S. A. (AMCEL)は,ブラジル北部アマパ州において,植林と木材チップの生産を行っている。同社は,平坦でまとまった植林地,チップ工場や積み出し港の距離,豊富な降水量,温暖な気候など,高いポテンシャルを持ちながら,植林木の成育性が低く,これらの好条件を十分に活かせずにいた。しかし,2006年12月の買収以降,継続的に行われてきた林木育種の成果により,成育性が大幅に向上している。
筆者は,2009年4月から2012年1月まで同社研究課長として駐在し,林木育種による成長性や木材物性の改善について取り組んできた。本報告では,AMCELの事業紹介とともに,ブラジル北部に位置するAMCEL社クローン植林地において,簡易分析法を導入し,従来の測定法では評価が難しかった,植林木のKP収率と容積重の分布と,植林木の成長性がKP収率と容積重に与える影響について,調査を行った。
結果,以下の傾向が示された。
1)容積重では,材積が増加するにつれて,若干の容積重の減少傾向が認められた。KP収率では,東地区,西地区ともに,材積の変化によって明確な傾向を見出せなかった。
2)容積重,パルプ収率とも,成長性の差に起因する要素よりも,植栽地の違いによる影響が大きくなる傾向がみられた。

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© 2013 紙パルプ技術協会
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