抄録
ロボットというと,すぐに思い出されるのは人間を模擬したマシンであるヒューマノイドであるかもしれないが,社会に真に役立つロボットを開発するには,その形は必ずしも人に似せる必要はない。目的を達成するために必要十分な機能を有する特有の形と機構を創造し,それを助ける最適なセンサと制御系の構成を導入することこそが重要である。特にわが国では,福島第一原発の廃炉作業を遂行してゆくため,また老朽化しつつある多くの社会インフラの点検と補修などの,人間では作業し難い,いわゆる3K作業を遂行するため,このような真に実用的なロボットの開発が強く望まれている。そのため,本講演では,講演者がこれまで東工大で開発してきた,また現在東工大発ベンチャーである〓ハイボットにおいて開発中の150台以上のロボットの中から,ヘビ型,歩行型,クローラ型などの移動ロボットの開発事例や,具体的な応用を目指した,地雷探知除去ロボット,レスキュー用ロボット,惑星探査用ローバなどの開発事例を紹介し,今必要とされる人に役立つ実用的なロボットの開発の方法論を論ずる。