紙パ技協誌
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研究報文
製紙代替原料としての非木材繊維三種のパルプ特性評価
アタヌ クマル ダス中川 明子大井 洋
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2015 年 69 巻 5 号 p. 555-560

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抄録

三種類の非木材種:Musa sapientum(バナナ)の茎,Cocos nucifera(ココナッツ)の葉中肋,Eichhornia crassipes(ホテイアオイ)の茎と葉について最適なクラフト蒸解条件を調べ,製紙代替原料としてのパルプ特性を評価した。バナナの茎では,蒸解温度150℃,有効アルカリ9.2%および硫化度17%の条件が最適で,引裂指数9.92mN・m2/g,引張強度57.4N・m/g,のパルプが得られ,精選収率は38.4%であった。ココナッツの葉中肋では,温度160℃,有効アルカリ21.3%および硫化度30%が最適で,引裂強度と引張強度は91mN・m2/gと67.8N・m/gで,精選収率は三種の原料の中で最も高い44.4%であった。ホテイアオイの茎と葉では,温度150℃,有効アルカリ9.4%,硫化度13%の条件が最適で,引裂強度,引張強度および精選収率は,33.9%,2.64mN・m2/gおよび63.9N・m/gであった。これらのパルプは,製紙用代替未漂白パルプとして使用可能であり,原料問題の解決の一助となると期待できる。

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© 2015 紙パルプ技術協会
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