2016 年 70 巻 10 号 p. 1027-1031
近年,抄物の多品種化や塗工液の多様化ならびに高速化に伴い,サイズプレスアプリケーターロールカバー材質に対する品質安定化の要求がより厳しくなってきている。
サイズプレス塗工工程において紙シートへの塗工の安定化を阻害する要因を詳細検証すると,以下の2点の問題点を解決することが必要になる。
①アプリケーターロールの表面の撥水性が十分でないことによる塗工液の転写の不安定
②アプリケーターロールの表面粗さが変化することでの紙シートの剥離位置の不安定
当社はその問題点を解決するために,紙シートへの安定的塗工が行え,耐摩耗性・撥水性に優れた,低摩擦係数のポリウレタンカバー材質「スーパーポリフォルテ」を開発した。ユーザーでの評価結果は,特にサイズプレスアプリケーターロールにおいて表面粗さが一定に保たれる特性により,下記の効果が得られた。
・紙シートの剥離位置安定による塗工ムラの改善
・ロール両端部に発生していた波打ち状の凹凸現象の解消
・ロール交換周期の延命
また,ブルーム量の減少による塗工ムラ改善や断紙時のロール表面傷つき軽減等の当社想定以上の効果を得ることができた。
「スーパーポリフォルテ」は販売開始以来,100本以上のサイズプレスアプリケーターロールに採用されている。
本稿では,「スーパーポリフォルテ」の特徴と材料物性評価および,評価事例について報告する。