紙パ技協誌
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総説・資料
新しいコンセプトによるピッチ処理薬剤「スパンプラス®FT」
和田 敏田口 千草
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ジャーナル 認証あり

2017 年 71 巻 2 号 p. 133-137

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抄録

低品質古紙を使用しつつDIPの生産能力および品質向上を達成するために,DIP工程におけるピッチ処理薬剤として「スパンプラス®FT」を開発した。スパンプラス®FTは,疎水部と親水部を持った特殊な水溶性ポリマーの構造を持ち,従来のピッチコントロール剤のピッチを無害化,分解,安定化させる薬剤とは異なり,ピッチのみを選択的に凝集させる効果を持つ。

そのため,脱墨工程のフローテーター原水へ適用することで,従来,フローテーションでは除去できなかった微細なピッチについてもフロスへ移行させ,フローテーターでのピッチの除去効率を上昇させる事が出来る。その結果,完成DIP中のピッチ量を低減させマシン工程へ持ち込まれるピッチ量を低減させる事が可能になる。

また,スパンプラス®FTはピッチに対する選択性が高くSSには作用しないため,従来よりもフローテーターのフロス量を抑制してもピッチ排出は維持しつつSS排出を低減出来ることで,流出原料が低下しDIP原料歩留の改善に貢献できる。

スパンプラス®FTを新聞マシンDIPの脱墨工程へ適用することで,無処理時よりピッチ除去効率が10~20ポイント上昇し処理水中のピッチを除去した結果,抄紙工程でのピッチ障害の低減に貢献出来た。またSSは除去されない事より流出原料の低減に貢献出来る事が確認できた。

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